現在の住宅には「玄関」は当たり前についています。
でも江戸時代までは、武家や富裕層以外玄関を作ることが禁じられていました。
これが明治時代に入ると、庶民の住宅にも玄関が登場します。
独立した屋根を持つ玄関は、家の格式の高さの象徴となり、趣向が凝らされました。
格を見る目安となるのが敷居(しきい)と長押(なげし)があるかどうかです。
間口1間の玄関は中流住宅の下であり、
1間半(2.7m以上)となると中流住宅の上という見方もありました。
一方、玄関は人間だけでなく、魔物が侵入する場所ともされました。
家の鬼門とされる東北の隅やトイレのそば、出入口などに「難を転ずる」という意味をこめて、
南天が植えられました。
また神社や祈祷師が配札したものは、泥棒や災難避けとして、玄関の長押に貼られます。
魔除けの仕掛けは大きな意味が込められているのです。